金津創作の森では、開館10周年記念事業の一つとして、経済的効果と社会的効果の調査を福井県立大学に委託して行いました。経済的効果は、創作の森の支出や来館者によって、金銭的に地元がどれくらい潤い、雇用を発生させたかを調査し、また、社会的効果では、アンケートなどを基に利用者の感想やご意見を把握し、その内容を分析し、「金津創作の森の経済的・社会的効果」として一冊の報告書にまとめました。
1.経済的効果について
経済的効果は、金津創作の森の平成19年度決算を基に算定しました。
報告書の第1節では「あわら市への経済効果」を、第2節では「福井県への経済効果」を算定しています。なお、あわら市は福井県の一部であり、「あわら市への経済効果」は「福井県への経済効果」の一部となります。
経済効果には「直接効果」と「波及接効果」があります。
| (1) | 「直接効果」とは、創作の森が生み出す「生産金額」「付加価値」「就業者」の三つを言います。 |
| (2) | 「波及効果」とは、創作の森が他の企業から財やサービスを購入することによって、その企業やそこと取引のある企業の「生産」が増加し、それに伴って「付加価値」の額や「就業者」の数が増加した効果を言います。 |
「波及効果」は、それをどこまでを考えるかによって様々なものが考えられます。創作の森事業では、3段階(第1次波及効果から第3次波及効果まで)の波及効果を計算しています。その算定には、『福井県産業連関表』(2000年)を用いています。
2.あわら市への経済効果 (福井県への経済効果の一部であり、再掲となります。)
あわら市への経済効果は、下記の表のとおりです。
| @ | 直接効果の「生産金額」は市の補助金やレストラン・入居作家の収入を、「付加価値」は職員の給料を、「就業者数」は創作の森の職員やアルバイトの人数を表します。 |
| A | 「第1次波及効果」は、利用者の一部が支出した宿泊費による「生産金額」、「付加価値」、「就業者」です。「観光費」は市内ではほとんど発生していないと判断しています(アンケート結果から)。 |
| B | 「第2次波及効果」は、創作の森が購入する財やサービスによって生じる「生産金額」、「付価値」、「就業者」です。 |
| C | 「第3次波及効果」は、職員が得た給料の消費が誘発した経済効果ですが、あわら市内では無視できる金額として算出していません。 |
あわら市への経済効果
| 直接効果 (創作の森) |
第1次波及効果 (利用者の宿泊費と観光費) |
第2次波及効果 (支出先企業の生産増の額) |
第3次波及効果 (就業者の消費額) |
計 | |
| 生産金額 (収入金額) |
112,304千円 | 134,951千円 | 15,016千円 | ー | 262,271千円 |
| 付加価値 (就業者の給与) |
47,746千円 | 77,040千円 | 7,854千円 | ー | 132,640千円 |
| 就業者 (雇用人数) |
89人 | 23人 | 2人 | ー | 114人 |
3 .福井県への経済効果 (あわら市への経済効果を含む)
福井県への経済効果も同じく表を参照ください。
福井県への経済効果
| 直接効果 (創作の森) |
第1次波及効果 (利用者の宿泊費と観光費) |
第2次波及効果 (支出先企業の生産増の額) |
第3次波及効果 (就業者の消費額) |
計 | |
| 生産金額 (収入金額) |
112,304千円 | 871,266千円 | 70,959千円 | 34,235千円 | 1,088,764千円 |
| 付加価値 (就業者の給与) |
47,746千円 | 502,726千円 | 42,849千円 | 20,838千円 | 614,159千円 |
| 就業者 (雇用人数) |
89人 | 134人 | 9人 | 3人 | 235人 |
| @ | 「直接効果」は、あわら市が福井県の一部であることから、あわら市への直接効果と同額となります。 |
| A | 「第1次波及効果」は、創作の森の利用者が県内で支出した宿泊費と観光費が誘発した経済効果です。支出先は、サービス業が79%で第1位となっています。 |
| B | 「第2次波及効果」は、創作の森の支出が県内で誘発した企業への経済効果です。サービス業55%、電力・ガス・水道業17%、農林水産業9%などとなっています。 |
| C | 「第3次波及効果」は、創作の森の就業者が、その給料を県内で支出して誘発した経済効果です。 |
4.社会的効果
(1)アンケート結果
社会的効果については金額では表せないため、アンケートの集計結果から分析しました。
対象者は、「創作の森の利用者」、「あわら市民」、「文化祭来場者」、「金津高校2年生」、「市外の人々」、「福井県・石川県の人々」です。
- 一般的に施設利用者の満足度は極めて高く、市民文化祭来場者、金津高校2年生がこれに続いています。
- 文化的・芸術的催しに関心を持つ人々には歓迎されており、一般的な市民層もその評価は低くない。
- 市助成金について、市民の回答では厳しい意見を持つ者が少なくないが、文化祭来場者や高校生は理解を示している。
- 中高年層の利用者はそう多くはない。
- 3分の1が初めての利用だが、10回以上が4分の1を占め、リピーターが極めて多い。
- あわら市と福井市の住民が4分の1ずつあり、福井県の住民が8割を占めている。1割は石川県であった。
- 満足度は、「不満足」がほとんどなく、満足度は極めて高く、この数値は企画の内容や年代によって変わりがない。
市民へは、今年1月にアンケートを実施しました。回答者は50〜60歳代が6割を占め、30歳代以下は少数でしたが、回答結果は世代ごとに大きな違いがありません。
- 回答者は、創作の森をよく訪れている。
- 満足度は「ふつう」が4割と最も多いが、文化祭来場者や高校生と比較すると評価は低くなっている。
- 市の助成については、「妥当」と答えた人は2割で、「減額すべき」「支出すべきでない」との回答が4割あった。よく訪れてはいるが、支出については厳しく判断している。また、創作 の森が観光資源ではなく教育施設であることも必ずしも認識されていないようである。
- 金津高校生は、クラフトセミナーで全員が利用しており、回答の3分の2が「満足」「非常に満足」と回答しており、総じて好意的。
- クラフトマーケット出店者へのアンケートでは、創作の森の運営や客の反応に対し、ほとんどが肯定的である。
(2)インタビュー結果
インタビューは、温泉旅館、タクシー会社、入居作家などに対して行いました。
インタビュー項目は、@宿泊客が創作の森を利用する程度、Aタイアップを考えているか、B要望、などです。回答は次のようになっています。
- 旅館から創作の森への利用者は少ない。宣伝すれば利用する可能性があるという旅館もある。
陶芸体験は人気があるが、(他の予約などで)できない日もあるのがネックである。(宿泊と体験の)タイアップについては総じて好意的。 - 作品が温泉街でも見られるようにして欲しいという意見もあった。
- 陶芸などの体験が可能かどうかは行ってみないと分からないのでパックにもできず、紹介できないとのことであった。
- 交通の便も良くない。
- タクシーは、有名作家の展覧会の時は利用が多いが、通常の利用者は少ない。
(3)マスコミへの掲載
調査年度は、福井新聞に述べ34回、その他の媒体には延べ31回掲載されています。
地域レベルではよく取り上げられるが、全国レベルでは少ない。
以上が、報告書の概要です。
参考までに、アンケートの設問として記載した、「平成19年度のあわら市補助金等6,623万円」の内訳は次のとおりです(序文「はじめに」から抜粋。)。
- 管理委託料 施設管理費2,550万円、法人管理費3,073万円(人件費を含む)
- 事業補助金 展覧会等の事業への補助金1,000万円
(入居作家、レストランへの助成は0円)